Office 2021のサポート終了でどうなる?中小企業が確認したい影響と移行方法
「WordやExcelは今も普通に使えているから、特に対応しなくてもよいのでは?」
「Microsoft 365へ変えた方がよいと言われたが、何が違うのか分からない」
「社内にOffice 2021のパソコンが何台あるのか把握できていない」
このような会社も多いのではないでしょうか。
Office 2021は、2026年10月13日にMicrosoftのサポートを終了しました。サポートが終わってもWordやExcelがその日に起動しなくなるわけではありません。しかし、今後はセキュリティ更新や不具合修正などが提供されません。
会社のパソコンには、顧客情報、見積書、給与データ、契約書など、外部へ漏らしてはいけない大切な情報が入っています。Officeを新しい状態に保つことは、単なるパソコンの入れ替え作業ではありません。会社として情報をきちんと守り、取引先からの信頼を守るための取り組みです。
難しい設定を経営者や総務担当者だけで行う必要はありません。この記事では、Office 2021のサポート終了で何が変わったのか、自社で使っているOfficeをどう確認するのか、Microsoft 365と買い切り型のOffice Home & Business 2024のどちらを選べばよいのかを、できるだけやさしく解説します。
2026年11月9日
Office 2021は2026年10月13日にサポート終了
Microsoftの製品ライフサイクル情報によると、Office 2021のサポートは2026年10月13日に終了しました。対象には、Office Home & Business 2021、Office Home & Student 2021、Office Professional 2021、Office 2021 for Macなどが含まれます。
Word 2021、Excel 2021、Outlook 2021、PowerPoint 2021、Access 2021、Project 2021、Visio 2021なども同じ時期にサポートを終了しています。
MicrosoftはOffice 2021向けの延長セキュリティ更新プログラムを提供していません。WordやExcelがこれまでどおり開けても、製品を安全に保つための修正は届きません。見た目では違いが分かりにくいため、『動いているから安心』とは判断しないことが大切です。
サポート終了後に変わること
| 項目 | サポート終了後 |
|---|---|
| Word・Excelの起動 | 直ちに起動しなくなるわけではありません。現在の環境で動作し続ける場合があります。 |
| セキュリティ更新 | 新しく見つかった脆弱性への修正が提供されません。 |
| 不具合修正 | 製品の不具合を直す更新が提供されません。 |
| Microsoftの技術サポート | 問い合わせや問題調査のサポートを受けられません。 |
| 新しい環境との互換性 | 今後のWindows、クラウドサービス、周辺機器などとの動作保証が難しくなります。 |
サポート終了後も使い続けてよい?
会社のパソコンでは、自社の情報だけでなく、取引先や社員から預かった情報も扱います。そのため、Officeの更新はパソコン担当者だけの問題ではなく、会社として情報を守るための基本的な管理の一つです。
特に、次のようなパソコンでは早めの移行をおすすめします。
- インターネットやメールを日常的に利用している
- 顧客情報、個人情報、給与・会計データを扱っている
- 取引先からセキュリティ対策の確認を求められる
- Word・Excelのファイルを社外と頻繁にやり取りする
- OneDrive、SharePoint、Teamsなどと連携している
Office 2021からの移行を進める目的は、事故が起きた後の説明に備えることだけではありません。新しく見つかった弱点を修正できる製品へ移し、ウイルス感染や情報漏洩が起こりにくい環境を会社側から積極的につくることです。取引先からセキュリティ対策を確認されたときにも、『サポート中の製品を使い、更新を続けています』と答えられる状態を目指しましょう。
まず、自社のOfficeを確認する
『自社のOfficeが2021なのか分からない』という方も心配はいりません。WordまたはExcelを開けば、次の手順で確認できます。難しい操作や特別なソフトは必要ありません。
- 1.WordまたはExcelを開く
- 2.左上の「ファイル」を選ぶ
- 3.「アカウント」を開く
- 4.「製品情報」に表示される製品名を確認する
「Wordのバージョン情報」「Excelのバージョン情報」を開くと、32ビット版か64ビット版かも確認できます。アドインや業務ソフトとの互換性を確認する際に必要になるため、製品名と一緒に記録しておきましょう。
画面表示はOfficeの種類・更新状況により異なる場合があります
社内のOfficeを一覧にしておく
1台を確認できたら、ほかのパソコンも順番に見ていきましょう。最初から立派な管理表を作る必要はありません。Excelに利用者名、パソコン名、Officeの製品名を書くだけでも、移行漏れを防ぎやすくなります。
| 確認項目 | 記録例 |
|---|---|
| 利用者・部署 | 営業部 山田さん |
| パソコン名・管理番号 | PC-EIGYO-05 |
| Officeの製品名 | Office Home & Business 2021 |
| 32/64ビット | 64ビット |
| 主に使うアプリ | Outlook、Excel、Word |
| 特殊な機能 | Excelマクロ、Access、会計ソフト連携 |
| ライセンス情報 | 購入元、Microsoftアカウント、契約情報 |
Office 2021を使い続ける主なリスク
IPAの5分でできる情報セキュリティ自社診断
IPAは、中小企業が自社の対策状況を確認できる「5分でできる!情報セキュリティ自社診断」を公開しています。自社だけで診断する場合も、第4記事のチェックリストとあわせて現状把握に利用できます。
中小企業が利用できる公的な仕組み
1.新しい脆弱性が見つかっても修正されない
Officeファイルは、メール添付やクラウド共有を通じて社外から届くことがあります。『脆弱性』とは、ソフトに見つかった安全上の弱点のことです。Office 2021では今後その弱点を直す更新が届かないため、サポート中の製品へ移行し、修正を受け取れる状態にすることが情報保護につながります。
2.新しいWindowsやクラウドサービスとの互換性が不明になる
パソコンや周辺機器、Microsoft 365のサービスは更新され続けます。Office 2021側は更新されないため、Outlookの接続、ファイルの共同編集、アドイン、印刷などで問題が起きても、正式な修正を期待できません。
3.取引先のセキュリティ確認に答えにくい
最近は、取引先から『サポート中のソフトウェアを使用していますか』と確認されることがあります。サポート中のOfficeへ移行し、更新状況を管理しておけば、自社が情報保護の責任を果たすために対策していることを具体的に示せます。これは調査票へ回答するためだけではなく、安心して取引を続けてもらうための土台になります。
4.問題が起きたときにMicrosoftのサポートを受けられない
業務停止につながる不具合が発生しても、Office 2021についてMicrosoftへ技術サポートを求めることはできません。復旧方法を社内や外部業者で調べる必要があり、対応時間と費用が増える可能性があります。
移行先は主に3つ
一般的な中小企業の移行先は、月額・年額契約のMicrosoft 365 Appsか、買い切り型のOffice Home & Business 2024が中心です。このほか、インターネット接続や機能更新を制限する特別な環境向けにOffice LTSC 2024があります。名前が似ていますが、購入方法と想定用途が異なります。
| 選択肢 | 特徴 | 向いている会社・用途 |
|---|---|---|
| Microsoft 365 Apps | 契約期間中は最新版へ継続更新。契約プランにより複数端末、OneDrive、Teamsなどと連携。 | インターネット接続環境で、常に更新されたOfficeを使いたい一般的な中小企業。 |
| Office Home & Business 2024 | 一般販売されている買い切り型。日本向けは1ユーザーが2台のWindows PCまたはMacで利用可能。Word、Excel、PowerPoint、Outlook、OneNoteを含む。サポート終了は2029年10月9日。 | サブスクリプションを避け、固定した少数のパソコンでOfficeとOutlookを使いたい小規模企業。 |
| Office LTSC 2024 | 組織向けのボリュームライセンス製品。機能更新を受けられない規制・制限環境向けで、通常の店頭購入製品とは異なる。 | 厳しく管理された端末、長期間オフラインで使う専用端末など、特別な要件がある組織。 |
※ここでいう一般向けの買い切り型は、主にOffice Home & Business 2024を指します。Microsoft 365の利用可能なアプリ・台数・クラウド機能は契約プランによって異なります。Office Home & Business 2024とOffice LTSC 2024も含まれるアプリや購入方法が異なるため、購入前に必ず確認してください。
Microsoft 365 Appsが向いている会社
- Word・Excel・Outlookを日常的に使う
- 社員の入退社やパソコンの入れ替えがある
- OneDrive、SharePoint、Teamsを使いたい
- 常にサポート中のOfficeを使いたい
- ライセンスを組織として管理したい
Office Home & Business 2024が向いているケース
- 利用するパソコンが固定されている
- Word・Excelの基本機能が中心で、クラウド連携をあまり使わない
- 買い切り型を希望し、次のサポート終了時期も管理できる
Office LTSC 2024は一般的な第一候補ではない
Office LTSC 2024は、長期間インターネットへ接続しない端末や、業務上の理由で機能を固定しなければならない環境を想定した製品です。『LTSCの方が新しそうだから』という理由だけで選ぶ製品ではありません。通常の事務用パソコンであれば、Microsoft 365 AppsまたはOffice Home & Business 2024から検討するのが分かりやすいでしょう。
移行前に確認したい10項目
Officeの入れ替えは、順番を決めて進めれば難しくありません。ただし、Excelマクロ、Access、Outlook、業務ソフトとの連携は会社ごとに違います。次の項目を確認し、まず1台で試してからほかのパソコンへ広げましょう。
- ◻︎ ExcelマクロやVBAを使っているか
- ◻︎ Accessで作られた社内データベースがあるか
- ◻︎ 会計・販売管理・給与ソフトからExcelやOutlookを呼び出しているか
- ◻︎ 電子印鑑、PDF、翻訳などのOfficeアドインを使っているか
- ◻︎ 会社独自のWord・Excelテンプレートがあるか
- ◻︎ Outlookのメール、連絡先、予定表をどこに保存しているか
- ◻︎ 共有メールボックスや複数アカウントを設定しているか
- ◻︎ 複合機、スキャナー、ラベル印刷などと連携しているか
- ◻︎ 32ビット版・64ビット版の指定が必要な業務ソフトがあるか
- ◻︎ ライセンス、Microsoftアカウント、管理者情報を把握しているか
移行前のバックアップ
Officeの入れ替えそのものですぐ文書が消えるわけではありませんが、Outlookのデータ、テンプレート、署名、辞書、マクロなどは環境によって保存場所が異なります。重要データと設定を先にバックアップしてください。
全台を一度に変更せず、4段階で進める
『全台を一度に変えなければならない』と考えると、総務担当者の負担が大きくなります。少人数の会社でも、まず1台で試し、問題がないことを確かめてから順番に広げれば大丈夫です。次の4段階で進めましょう。
| 段階 | 行うこと |
|---|---|
| 1.調べる | 台数、利用者、Officeの種類、特殊なマクロ・アドイン、ライセンス情報を一覧にする。 |
| 2.試す | 影響が少ない1台で、メール、印刷、マクロ、共有ファイル、業務ソフト連携を確認する。 |
| 3.移す | 問題がないことを確認し、部署や用途ごとに日程を分けて移行する。 |
| 4.記録する | 導入した製品、利用者、ライセンス、設定、移行日、次回見直し時期を台帳へ残す。 |
移行前のバックアップ
Officeの入れ替えそのものですぐ文書が消えるわけではありませんが、Outlookのデータ、テンプレート、署名、辞書、マクロなどは環境によって保存場所が異なります。重要データと設定を先にバックアップしてください。
1台で問題が見つかれば、ほかのパソコンへ広げる前に対処できます。営業、経理、総務など業務内容が異なる場合は、各部署から1台ずつ検証すると安心です。
30日で進める移行スケジュール例
| 時期 | 作業 |
|---|---|
| 1週目 | Office 2021の台数、利用者、用途、ライセンスを確認する。 |
| 2週目 | 移行先を決め、検証用の1台へ導入する。 |
| 3週目 | メール、Excelマクロ、印刷、共有ファイル、業務ソフトを確認する。 |
| 4週目以降 | 問題の少ない部署から段階移行し、設定とライセンスを記録する。 |
よくある質問
自社で判断が難しいときは、パソコンごとに整理する
Officeの移行では、製品を購入することより、現在の利用状況を整理する作業に時間がかかります。特に総務担当者がIT業務を兼任している会社では、通常業務の合間に全台を確認するのは大きな負担です。 アルファパートナーズの「よろずITおまかせサポート」では、次のようなご相談に対応しています。
- Office 2021を使用しているパソコンの確認
- Microsoft 365とOffice Home & Business 2024の選定
- ライセンスと管理者情報の整理
- 検証用パソコンでの互換性確認
- Outlook・メール・データの移行
- Excelマクロ、アドイン、業務ソフト連携の確認
- 導入後の管理台帳と手順の整理
「何を契約しているか分からない」「買い替えが必要なパソコンも一緒に確認したい」という段階でもご相談いただけます。特定の製品を先に決めるのではなく、会社の利用状況を確認したうえで、無理のない移行方法を整理します。
Office 2021の確認・移行を一緒に整理します
社内に何台あるか分からない場合も、まずは現在のパソコンと利用状況の確認から始められます。 Officeの移行先、検証、メール・データ移行までご相談ください。
Office 2021の利用状況を相談する
まとめ まずは「何台で何を使っているか」を確認する
Office 2021は2026年10月13日にサポートを終了しました。今もWordやExcelが動いていても、セキュリティ更新や不具合修正は提供されません。新しいOfficeへ移行することは、会社と取引先の大切な情報を守り、安心して業務を続けるための前向きな対策です。 最初から経営者や総務担当者がすべてを理解し、全台を一度に入れ替える必要はありません。まず次の順番で進めてください。
- Office 2021を使っているパソコンを確認する
- マクロ、Outlook、業務ソフトなどの利用状況を整理する
- Microsoft 365またはOffice Home & Business 2024のどちらが合うか検討する
- 1台で検証してから段階的に移行する
- 導入後のライセンスと設定を記録する
「どのOfficeを使っているか分からない」という状態でも、確認を始めれば対応できます。まずはWordやExcelの「アカウント」画面を開き、自社の現状を整理してみてください。